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笑顔をください。

午後20時前、とある閉演間近の遊園地。ぼぉっと片手に残り一つになった風船の紐を
掴み、夜空に浮かぶ灰色をしたまんまるな月を見つめる豚の着ぐるみを身に纏った…… 男性か女性……

豚 「2021年5月,僕から影が無くなった。
   もしかしたら本当はもっとずっと前から無かったのかもしれない。
   気付かなかっただけなのかもしれない。
   そして、それと同時に心にあったはずのあったかいものも一緒に消えた。
   空っぽ、、、」


心の中でそんな風に呟くと、ふと足元へ視線を落とす、豚……
自分の足元をじぃと見つめるが、靴を履いた足元の周りに、影はない。
乗り物の照明や園内に並ぶ街灯の明かりに照らされているにもかかわらず、やはり……  


豚 「……無い。

   どこに置いてきたんだろう…… どこに落としてしまったんだろう……
   無い。居ない。どこにも…… もしかしたら、自分は…… 知らない間に死んじゃって、空っぽになった体だけが

  気付かないで、彷徨っているのかな…… 」

そんな、ありえない事を考える豚。ついさっきまで配っていた風船も残り一つ
豚の心も、どこかそんな風船のようにふわふわと、暗くなった空の上に、優しく吹く風に揺られているように

空っぽの体で浮かんでいる。そんな感覚。

豚 「……そう言えば、この小さな穴から見える世界の色も、今までとは違って
   色が無い気がする…… 気のせいかな…… 月も、そこらじゅうの街灯の明かりも、灰色に見える。」


そう心の中で呟きながら、自分の周りを、人気のまばらな閉演間近の園内を見まわす、豚。
とそんな豚の方へ…..

つづく……

髙橋昭博

今日から一週間小さな小さな物語を少しづつ紡いでいきます。
少しバタバタと忙しい一週間ですが、どうか今週も皆さんに
あたたかい何かを届けられたらいいなと思っています。
先週もありがとうございました。
そして今週もどうぞよろしくお願いします。

どうか皆さんの新しい一週間が優しい日々になりますように
明日が良い一日でありますように
優しい風が吹きますように
また明日。
紡ごう……


Akihiro Takahashi




 

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